「恐れ入ります。」という言葉、あなたは相応しいタイミングで使うことができていますか?
「恐縮です」の項目では、使いどころによって失礼となってしまったり、どういった状況で使うべきかを解説しました。
「誠に恐れ入りますが、席のご移動をお願いいたします。」
「大変恐縮ですが、席のご移動をお願いいたします。」
どちらも同じ意味ですし、声に出して読んでみても、全く違和感ありませんね。
「恐れ入る」とは、「ごめんなさい。」にも聞こえますが、実際はどうなんでしょう?
この記事では「恐れ入ります」の意味と正しい使い方について解説します!
恐れ入りますの意味
「恐れ入ります」という単語を分解して考えてみると、
「恐れ」…心配、恐怖感。
恐れおののいてひれ伏すという様子が、転じて、目上の方に対する敬意を表しています。
「入る」…この場合、すっかりその状態になってしまったことを表します。(「ぐっすり寝入る」「心に染み入る」など)
となり、
すっかり敬意のもとにいます=頭が上がりません
という意味になりますね。
恐れ入りますの正しい使い方
前項で確認した通り、「頭の下がる思い」を表しているのですが、敬意を崩した表現にすると「すみません」となります。
「恐れ入ります」はよく耳にする言葉ですが、思い起こしてみると、それは特にビジネスシーン(接客など)ではないでしょうか。
目上の方やお客様に対して「ありがとう」「すみません」は適さないため、丁寧な言い方が探されるうちに生まれた「クッション表現」と言えます。
「恐れ入りますが、こちらにサインをお願いいたします。」
「少しだけ右側に寄っていただけますか?」
→反応後「恐れ入ります。」
恐れ入りますの間違った使い方
クッション表現はあくまで衝撃を和らげるだけで、すべて吸収することはできません。
つまり、どんな場合でも使えるわけではありません。
「ご注文いただいた商品について、恐れ入りますが、3日納期が遅れてしまいます。」
「恐れ入りますが私がその日は出張で不在です。」
自分の都合や過失で相手に負担をかけているわけですから、「申し訳ございませんが」とするのが適切ですね。
「恐れ入ります」と「恐縮です」の違い
「恐れ入ります」と「恐縮です」はほとんど同じ意味の言葉です。
ただ、敬語のレベルで少し違いがあります。
「恐れ入ります」は「ありがとう」「すみません」に替わるクッション表現です。
接客時や、よくお会いする取引先のお相手など、姿勢を正しているものの、必要以上に堅苦しさを表さなくて良い時に用いることができます。
「恐縮です」は、「ありがとうございます」「申し訳ありません」の敬意をさらに強くした表現です。
初めてお会いする重要な商談相手や、厳かな式典での挨拶など、へりくだった気持ちややかしこまった姿勢を表す時に用いる言葉です。
「恐縮です」の意味や使い方についてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
恐れ入りますの類語・別の言い方は?
- 前項のように、よりかしこまった姿勢を表す場合には「恐縮です」。
- こちらからの謝罪の意である場合には「申し訳ございませんが」。
- 対等に近い相手には「ありがとうございました」
- 目上の方には「御礼申し上げます」
というように、「すみません」を、ケースによって使い分ける中に「恐れ入ります」とその類語は登場します。
また、「恐れ入りました」(武道などで負けを認める宣言)という言葉。
これをもとにイメージすると、「あなたにはかないません」「感服しました」「あなたは確かな腕前だ」という表現でもあることが分かりますね。
恐れ入りますのまとめ
- 「恐れ入ります」は「ありがとう」「すみません」に替わるビジネス用語
- 「恐縮です」とはほとんど同じ意味だが、「恐れ入ります」のほうが少し軽い。
耳にしていたけど、学生時代には自分から発する機会の少なかった言葉の一つですね。
「すみません」を「恐れ入ります」と言い換えてみることで、社会人になった実感を得ながら、丁寧な敬語を駆使できるようにしていきましょう。