過去を振り返ることを、「かえりみる」ということがあります。
しかし、漢字変換すると「顧みる」と「省みる」の2種類が出てくるため、使い分けに迷った経験のある方も多いと思います。
そこでこの記事は、振り返る対象を考えるとわかりやすい「顧みる」と「省みる」の違いについてまとめました。
顧みるの意味・使い方
「顧みる」は、「過去を思い返す」「気にかける・心配する」という意味です。
振り返る対象は、過去の出来事・人・時代などです。
また、物理的に振り返る意味でも使われます。
最初の意味で使われている熟語としては、「回顧」があります。
二つ目は、「顧問」がわかりやすいと思います。
また、「危険を顧みない」「迷惑を顧みない」といった表現で使われることもあります。
- アルバムを見て、娘の幼い頃を顧みた。
- 彼は危険を顧みず、紛争地へと旅立った。
- 妙な気配がしたので、ふっと後ろを顧みた。
省みるの意味・使い方
「省みる」は、「自分の行いを振り返ること・反省する」という意味です。
振り返る対象は、自分自身です。
他人の行いを反省することはできないため、当たり前かもしれませんね。
- 寝る前に、今日一日の行動を省みることにしている。
- わが子に「嫌い!」と言われ、仕事一筋だった人生を省みた。
顧みる・省みるの違いは?
「顧みる」は、過去を思い返したり心配したりすることです。
一方、「省みる」は、反省することです。
両者のもっとも大きな違いは、思い返す対象です。
「顧みる」対象は、出来事や人、時代などで、自分とはあまり関係ないことでも構いません。
対して、「省みる」対象は、自分の言動のみです。
どちらも使えそうな場合は、かえりみている本人が反省しているかどうかで判断します。
例えば、「部下の失敗をかえりみる」という場合を考えてみましょう。
「顧みる」を使うと、部下の失敗を単純に思い返している・あるいは気にかけているという意味になります。
そして「省みる」を使うと、部下の失敗の原因が自分にあるのではないか、と反省している意味になります。
どちらも読み方は同じですが、漢字を入れ替えると意味が大きく変わってしまいます。
このような場合もあるため、文章で表現するときは注意が必要です。
まとめ
- 顧みるは、過去を思い返すこと。あるいは、心配したり気にかけたりすること。かえりみる対象は、出来事・人・時代など。
- 省みるは、反省すること。かえりみる対象は、過去の自分の言動。
迷う場合は、振り返る対象を考えてみましょう。
自分以外ならば「顧みる」です。
自分自身の場合は、反省の気持ちがあるかどうかで判断しましょう。