「壮絶」と「凄絶」。
どちらも「すごい!」という場面で使われる言葉です。
しかし、この二つの言葉が持つニュアンスは、まったく異なります。
むしろ、正反対といってもいいかもしれません。
ご存じでしたか?
この記事では、似ているようでまったく違う「壮絶」と「凄絶」の違い・意味と使い方、そして読み方について解説します。
壮絶の意味・使い方・読み方
「壮絶」は「そうぜつ」と読みます。
そして、「壮」という文字は「盛ん・強い・勇ましい・大きい」という意味を持ちます。
一方、「絶」は「この上ない・きわめて・甚だ」という意味です。
このようなことから、「壮絶」とは「きわめて盛んなさま・この上もなく勇ましい様子」という意味になります。
悲しさや悲惨さはまったくなく、非常にポジティブなイメージですね。
- 横綱同士の取り組みは、非常に壮絶だった。
- 彼女は、世界ランキング1位の選手を相手に壮絶な戦いをした。
凄絶の意味・使い方・読み方
「凄絶」は「せいぜつ」と読みます。
「凄」の訓読みは、「凄まじい(すさまじい)」「凄い(すごい)」「凄む(すごむ)」「凄い(さむい)」です。
そして「凄」一文字で、「すさまじい・ぞっとする・程度がはなはだしい」といった意味を持ちます。
したがって、「凄絶」とは「きわめてすさまじいさま・ぞっとするほど恐ろしいさま」という意味になります。
こちらは、とても悲惨で目も当てられない様子を表すネガティブな言葉といえますね。
- テロ現場の凄絶さに、言葉を失った。
- 祖父から、凄絶な戦争体験を聞いた。
壮絶・凄絶の違いは?
「壮絶(そうぜつ)」は、「とても勇ましく盛んな様子」を表す言葉です。
一方、「凄絶(せいぜつ)」は、「きわめてすさまじく、恐ろしいさま」を表す言葉です。
「壮絶」は非常に明るくポジティブな言葉で、「凄絶」は暗く悲惨さが漂うネガティブな言葉です。
戦時中は、ひょっとしたら「壮絶な戦い」といった言葉が意図的に使われていたかもしれませんが、戦争やテロなどに対して「壮絶」を使うのはふさわしくありません。
もっとも、最近は「壮絶」を「勇ましい」という意味ではなく「悲惨な」という意味で使う場合もあるようです。(例:壮絶ないじめ、など)
しかし、言葉の正しい意味を理解した上で読むと、前述の例は「勇ましいいじめ」ということになり、いじめを称賛しているような雰囲気になってしまいます。
ここはやはり「壮絶」と「凄絶」をきちんと使い分け、行われていることの悲惨さやむごさを表現すべきでしょう。
まとめ
- 壮絶(そうぜつ)は、とても勇ましいさま・盛んな様子。
- 凄絶(せいぜつ)は、きわめてすさまじいさま・恐ろしい様子。
意味が分かってしまえば、使い分けは簡単です。
ポジティブなことには「壮絶」、ネガティブなこと・悲惨なことには「凄絶」を使いましょう。