日本語の違い

制限と制約の違い・意味と使い分け

制限・制約

「制限」と「制約」は、行動などに条件を付ける際によく使われる言葉です。

いずれも「制」という文字が使われ、入れ替えても意味が通じることがあるため、使い分けを意識していない人も多いと思います。

しかし両者は、実はまったく逆の意味を持つ言葉なのです。

この記事では、似ているようで真逆の意味を持つ「制限」と「制約」の違いについて解説します。

制限の意味・使い方

「制限」とは、「許される範囲や限界を定めること」あるいは「許される範囲や限界そのもの」です。

「制限速度」などをイメージすれば、わかりやすいですね。

「制限」の場合、許される範囲や限界内であれば、自由に行動できます。

また、具体的な数値で、制限の範囲が明示されている場合も少なくありません。

  • 感染症対策として、コンサート会場に入場できる人数を制限中です。(入場できる人数が明らか)
  • 高速道路では、最高速度だけではなく最低速度も制限されている。(走行できる速度が明らか)

制約の意味・使い方

「制約」とは、「一定の条件を付けて行動などを自由にさせないこと」あるいは「その条件」です。

つまり、行動などの自由を奪うのが「制約」ということになります。

  • 彼はスパイ容疑があるため、国内での行動が制約されている。
  • 表現の自由に対する不当な制約は、絶対に許されない。

制限と制約の違いは?

「制限」は、「許される範囲や限界」を示すものです。

自由を制限するものではなく、制限の範囲内であれば自由に行動できます。

そして、範囲や限界は、数値で表されている場合が多いです。

一方、「制約」は「条件を付けて行動などを自由にさせないこと」です。

こちらは、自由を奪うことを目的としています。

制約の場合、条件が具体的な数値で示されているとは限りません。

ただ、自由の範囲に条件を設けるため、制限と同じように使われることがあります。

例えば、次の二つの文章を比べてみましょう。

A:この映画は、視聴年齢に制限がある(一定の年齢以上ならば、見ることができる)。
B:この映画は、視聴年齢に制約がある(一定の年齢未満の場合、見ることができない)。

A・Bとも意味するところは同じですが、微妙にニュアンスが違ってきます。

まとめ

まとめ
  • 制限は、許される範囲や限界を示すもの。制限の範囲内ならば自由が許される。
  • 制約は、条件を付けて自由を許さないこと。

少し見方を変えると、制限は自由を保障するもの、制約は自由を奪うもの、と考えることもできます。

まったく逆の意味なのに入れ替えて使うことができるのが、日本語の難しさでもあり楽しさとも言えますね。

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