「裂く」と「割く」はいずれも「さく」と読みますが、意味の違いや使い分けを意識することは少ないと思います。
しかしこの二つ、漢字の意味を考えると意外と簡単に使い分けができるのです。
この記事では、結構簡単に使い分けができる「裂く」と「割く」の違いを解説します。
裂くの意味・使い方
「裂く」は、「二つに分ける」ことです。
単に分けるのではなく、「無理やり引き離す」「関係を切り離す」と、少々物騒なニュアンスのある言葉です。
「決裂」「分裂」の「裂」だということに気がつけば、イメージが湧きやすくなるのではないでしょうか。
- ロミオとジュリエットは、引き裂かれる運命だった。
- 落雷で、大樹が根元まで裂けてしまった。
割くの意味・使い方
「割く」は、「割り当てる」「切り分ける」という意味です。
「裂く」のように乱暴なイメージはなく、もともと分割可能なものを分ける場合や、刃物を使ってていねいに切り分ける際に使われる言葉です。
- 学生の頃は、勉強よりも遊びに時間を割いていた。
- 魚の腹を上手に割くのは難しい。
裂く・割くの違いは?
「裂く」は「無理やり引き離す・切り離す」ことで、「割く」は「割り当てる・切り分ける」ことです。
「裂く」は、本来離すべきではないものを無理に分けるときに使う言葉なので、少々不穏当でネガティブな印象になります。
一方「割く」は、人手や紙面など必要に応じて割り当てることができるものに使われるケースが多いです。
例文で用いた「魚」のように、分けることが難しいものに対して使う場合は、無理やり切り分けた場合は「裂く」、刃物などを使ってていねいに分けた場合は「割く」を使います。
ちなみに、おやつやおつまみとして愛されている「さきいか」の「さき」は、「裂き」を使うのが正しいようです。
ただ、商品として「裂きイカ」と書かれているものはほとんど見ません。
これはやはり、「裂」という文字が入ると痛々しさを感じてしまうからでしょう。
漢字が表意文字であるが故に生じる弊害でもあり、日本人特有の繊細さの表れともいえますね。
まとめ
- 裂くは、無理やり引き離すこと・関係を切り離すこと。
- 割くは、割り当てること・刃物などを使いていねいに切り分けること。
日本料理を提供する店などに使われる「割烹」という言葉は、「割=包丁で切ること」+「烹=火で煮炊きすること」という意味を持つそうです。
「割く」という言葉の意味が分かると、なるほどと思いますね。