“行動すること”を表す言い回しは、非常にたくさんあります。
特に、「実践」「実行」「実施」はいずれも「実」という文字が入り、似ている場面で使うことも多いため、違いがよくわからないという方もいると思います。
そこでこの記事では、意外と違いが明らかな「実践」「実行」「実施」の意味と使い分けについて解説します。
実践の意味・使い方
「実践」は、「何らかの主義や理論に従って、自ら行動すること」です。
何となく行動するのではなく、主義や理論に基づいたブレのない行動をいうのですね。
- 私たち家族は、神の教えを日々実践しています。
- 医師が実践している健康法を知りたい。
実行の意味・使い方
「実行」は、実際に行うことです。
刑法では、故意をもって犯罪構成要件にあたる行為をすることをいいます。
このことから考えると、「実行」には「故意」、つまり比較的強い何らかの意思が必要ということがわかります。
逆にいえば、意思をともなわない行為(寝ている間の行為など)に対して「実行」という表現は使いません。
- 犯罪を実行したのは私だが、計画したのは彼だ。
- 有言実行とは、言ったことは必ず実行する、という意味だ。
実施の意味・使い方
「実施」は、「計画どおりにものごとを進めること・法律などを施行すること」です。
主義や理論などとは関係なく、計画に従いものごとを行うことをいいます。
- 大学入試共通テストが、予定通り実施された。
- 景気対策が実施されたが、全然効果がない。
実践・実行・実施の違いは?
「実践」「実行」「実施」は、行動のベースが何であるかに大きな違いがあります。
- 実践:主義や理論などを行動に移すこと。
- 実行:意志を行動に移すこと。
- 実施:計画や法律などを行動に移すこと。
そして通常、行動は意思をともなうため、実践も実施も実行の中に含まれるといえます。
実際、「実践」や「実施」は「実行」に置き換え可能な場合がほとんどです。
逆に、「実行」を「実践」や「実施」に置き換えるのは難しい場合が多いです。
例えば、「実行犯」を「実践犯」「実施犯」ということはありません。
逆に、上記の「実践」と「実施」の例文では、いずれの場合も「実行」に置き換えることができます。
まとめ
- 実践は、主義や理論などを実際の行動に移すこと。
- 実行は、意思を行動に移すこと。
- 実施は、計画や法律などを実際の行動に移すこと。
何に基づいて行動しているかに着目すれば、使い分けに迷うことは少なくなります。
それでも迷ったり、言い回しに不自然さを感じたりする場合には、「実行」を使えば大丈夫ですよ。