- 恐縮ですが、出席いたします。
- 恐縮なさらず、ぜひご出席ください。
どちらが誤った使い方かあなたは分かりますか?
答えは②です。
しかも、これがかなり失礼ととられる間違い方なのです。
社会人になる以前には、ほとんど耳にすることがない「恐縮です」という表現。
間違って使ってしまうことも多いので、この記事では「恐縮です」の意味と正しい使い方を例文も合わせて詳しく解説していきます。
「恐縮です」の意味
取引先との打ち合わせで、会社の先輩が
「恐縮です。まさかそこまでご配慮いただけるとは。本当に恐縮です。」
と、何度も頭を下げているのを目にしたことがあるかもしれません。
「恐縮です」とは、「ありがとうございます」では足りないほどの感謝の思いや、言い換えれば、「申し訳ないほどの配慮」に対して使う言葉と言えますね。
「恐縮です」の正しい使い方・例文
日常生活であまり耳にしない言葉ということは、近い存在や頻繁にお会いする相手に連呼するような使い方はせず、年の離れている目上の方や、それこそ初めて彼女のご両親に会う時のような、特に敬意を持って接する場合に用いる場合が多く、例文としては
- 今回のような格別のご配慮に、ただただ恐縮するばかりです。
- お忙しい中、わざわざお越しいただき、恐縮です。
- お褒めの言葉をいただき、誠に恐縮です。
と、「ありがとうございます」「申し訳ありません」の上位表現と言えます。
「恐縮ですが」という使い方も、「申し訳ありません」の上位という観点で捉えれば、正しいものです。
- 大変恐縮ですが、こちら側へご移動いただけますか。
- 恐縮ですが、今回は欠席いたします。
「恐縮です」の間違った使い方・例文
恐縮に存じます。
一見丁寧なようですが、「存じます」は「思います」という意味になるので、「恐縮に存じます」=「申し訳なく”思っています”」となり、相手からすると「え?思っているだけなの?」と失礼な表現になってしまいます。
また、相手を主語とする場合も誤った使い方です。
導入文に記した
恐縮なさらず、ぜひご出席ください。
という使い方は、「遠慮する心もあるだろうけど、出席してね」となり、まるでこちらが上に立っているようですね
「恐縮です」をさらに丁寧に言うと?
身が縮こまる様子を描写していますので、強調する表現を頭に付けて
「大変恐縮です」
「誠に恐縮ですが」
「ただただ恐縮です」
これらの文末をさらにへりくだった表現にして、
「大変恐縮しております」
「誠に恐縮ではございますが」
「ただただ恐縮しております」
とすることで、丁寧な印象につながりますね。
「恐縮です」の類語・別の言い方は?
「感謝している」ことを、「全然そんなことありません」ではなく、「嬉しいです。ありがとう。」という意味を込めていますので、「とんでもないです」と言い換えられます。
「申し訳ない」ことを、「こちらが改めます」ではなく、「悪いけど受け入れてね。」という意味も込めていますので、「恐れ入ります」「恐れ入りますが」とも言い換えられます。
まとめ
- 「恐縮です」は「ありがとうございます」「申し訳ありません」の上位表現
- 相手が主語の場合に使用すると、失礼となってしまう
- 「恐縮に存じます」は間違い。正しくは「恐縮です」
堅苦しい表現で、あまり耳にしない言葉だからこそ、へりくだった気持ちやかしこまった姿勢を伝えたい時に用いると、より効果的ですね。
重要な商談の場や厳かな式典など、ここぞ!の時にサラッと口から出せるよう、事前に心の準備を整えておきましょう!