「〇〇がきく」という言い回しは、日常会話でもよく使います。
漢字としては「効く」あるいは「利く」を使うことになりますが、両者の意味が非常に似ているため、使い分けに悩むことも少なくありません。
そこでこの記事では、意味が分かってもやっぱり使い分けが難しい「効く」と「利く」の違いについてまとめます。
効くの意味・使い方
「効く」は、「期待通りの効果・作用があらわれる、効き目がある」ことです。
「効能」「効果」「効力」という熟語を思い浮かべると、分かりやすいですね。
- やみくもに怒っても、子どものいたずらには効かない。
- 元総理の応援が、得票率アップに効いたようだ。
- 肩こりに効くツボは、いくつかある。
利くの意味・使い方
「利く」は、「十分に機能を発揮する、可能である、言葉を発する」などさまざまな意味で用いられます。
また、使う場面は限定されますが「口利き」という場合は、「世話をする」という意味で使われます。
- うちの犬は、年をとったせいか鼻が全然利かない。
- コンパクトカーは、小回りが利くので便利だ。
- 生意気な口を利く。
- 親類の口利きで、何とか就職することができた。
効く・利くの違いは?
「効く」は、「効き目がある」という意味で使います。
もう少し掘り下げていうと、「何かに働きかけて、期待通りの効果を発揮させる」という意味になります。
つまり、働きかける「何か」が必要ということになるため、他動詞として使うことになります。
一方、「利く」は「機能を発揮する、可能である、言葉を発する」などいろいろな意味を持ち、自動詞としても他動詞としても使うことができます。
そして「調整がきく」「融通がきく」という場合は、いずれも「きく=可能である」に置き換えることができるので、「利く」をあてるのが正しいといえます。
しかし、どちらを使うべきか迷うケースもあります。
たとえば、「このカレーはスパイスがきいている」という場合、スパイスの「効果」を指しているのか、スパイスの「機能」を指しているのかよく分かりません。
この例のように、効果と機能の境界があいまいなケースではどちらを使っても間違いではありませんが、あえて平仮名で表現するのも一つの方法でしょう。
まとめ
- 効くは、ほかのものに働きかけて効果を発揮させること。他動詞として使う。
- 利くは、機能を発揮する・可能である・言葉を発する、などさまざまな意味を持つ。自動詞としても他動詞としても使える。
効能効果を表現したい場合は「効く」、それ以外の場合は「利く」でたいてい大丈夫です。
しかし、迷う場合は平仮名の「きく」を使うのが無難です。