市役所や裁判所などに使われる「所」と、警察署や消防署などに使われる「署」。
どちらも読み方は「しょ」ですし、意味もそれほど違わないようにも思えます。
では、なぜ別の漢字をあてているのでしょうか。
同じだと何か不都合があるのでしょうか。
この記事では、普段あまり考えることがない「所」と「署」の違いについて調べてみました。
所とは?
「所」には、「場所・ありか」という意味のほか、「特定の仕事をする施設」という意味があります。
一つ目の意味で使われている例としては、「住所」「近所」などがあります。
「市役所」や「裁判所」の「所」は、二つ目の意味ですね。
機能や役割ではなく、場所や建物・施設を表す言葉と考えればいいのかもしれません。
署とは?
「署」は、「役割・割り当て」あるいは「官署(官庁やその補助機関)」という意味を持ちます。
一つ目の意味で使われている身近な例としては、「部署」があります。
二つ目の意味は「警察署」「消防署」などですね。
こちらは、場所よりもその役割や機能を重視している言葉といえます。
所と署の違い
「所」は場所やありかを示す言葉で、特定の仕事をする施設を指す場合もあります。
一方、「署」は役割や割り当てを意味する言葉で、官庁やその補助機関を指すこともあります。
「所」は場所や施設そのもの、「署」は役割や機能を重視する言葉といえます。
あともう一つ。
あくまで一般的な話ですが、「署」のつく官署は法律行為を取り締まる権限や告発権を持つところが多いようです。
- 警察署:違法行為の取り締まり。事件の捜査など。
- 税務署:税務調査の実施。脱税行為の摘発など。
- 消防署:発火原因の調査など。
では「裁判所」はどうなの?ということになりますが、裁判所は裁判をするところであって、事件の捜査などをするわけではありません。
捜査をするのは警察官や検察官です。
また、捜査差押令状・逮捕状などは裁判官が発布しますが、裁判官あるいは裁判所が捜査や差し押さえ、逮捕などをするわけではないですよね。
このようなことから、「裁判署」ではなく「裁判所」になっていると思われます。
まとめ
- 所は、場所を示す言葉。特定の仕事をする施設を指す言葉としても使われる。
- 署は、役割や割り当てを意味する言葉。「署」がつく官署は、法律行為を取り締まる権限や告発権を持っているところが多い。
パソコンなどで漢字変換すると「所」や「署」は勝手に出てくることが多いですが、学校で文字を習ったばかりの子どもは使い分けに迷うこともあるかもしれません。
お子さんが困っていたら、「署」のつく官署の役割とともに使い分けを教えてあげてください。