「始まりとなること」あるいは「元となること」を、「きてん」と表現することがあります。
漢字では「起点」「基点」などと表しますが、文脈によってはどちらを使うべきか悩んでしまうこともあります。
そこでこの記事では、意味まで考えて使い分けたい「起点」と「基点」の違いについて解説します。
起点の意味・使い方
「起点」は、「物事の始まりとなる地点。動作や作用が始まるところ。」です。
スタート地点や始点と置き換えると、わかりやすいですね。
そして、起点は始まりの場所なので、基本的に一つしかありません。
ちなみに、河川の起点は源流ではなく河口と定義されているそうです。
たしかに源流はたどるのが難しく、どこがスタート地点かわからない場合も多いですから、河口を起点とするのは合理的な考え方といえますね。
- 山手線の起点は、品川駅だ。
- 震災が、私の第二の人生の起点となった。
基点の意味・使い方
「基点」は、「物事の基準となる点や中心となる部分。考え方や行動のもととなる部分。」です。
「起点」と異なり、基準となる点や中心となる部分は、その時々で変わる可能性があります。
また、考え方や行動のもととなるものも、各人で異なります。
そのため、「基点」は必ずしも一つとは限りません。
- 中学校を基点として、半径2kmを超えるエリアは自転車通学となる。
- 私の行動の基点は、学生時代のボランティア活動にある。
起点・基点の違いは?
「起点」はスタート地点で、「基点」は物事の基準となる点です。
そして「起点」は、基本的に一つしかありませんが、「基点」は相対的なものなので一つとは限りません。
「起」と「基」は意味がかなり違うので、文字で表現すれば意味を取り違えることはあまりないでしょう。
しかし、「起点」と「基点」は読み方が同じなので、会話では解釈に迷う場合があります。
例えば、「起点」の例文の2つめをみてみましょう。
震災が、私の第二の人生の起点となった。
この文章では、第二の人生の始まりという意味で「起点」を使っています。
これを「基点」に置き換えてみましょう。
震災が、私の第二の人生の基点となった。
この文章では、震災での経験が第二の人生のベースとなっているという意味になります。
まったく意味が異なってきますね。
このようにどちらの意味にも取れてしまう場合は、混乱を避けるために別の言葉に言い換えるほうが良いかもしれません。
まとめ
- 起点は、物事の始まり。スタート地点。基本的に一つしかない。
- 基点は、物事の基準となる点。行動や考えのもととなるもの。一つとは限らない。
使い分けに迷ったら、スタート地点なのか物事のベースとなっているのかを考えてみましょう。
会話では誤解を避けるため、他の言葉(起点:始点・スタート地点など、基点:基準点・ベースなど)に言い換えることをおすすめします。