「立つ」と「建つ」。
みなさんはどのように使い分けているでしょうか。
建造物に対しては「建つ」で、それ以外は「立つ」と答える方が多いと思いますが、実は状況によっては建造物であっても「立つ」を使うことがあるのです。
そこで、この記事では混乱しがちな「立つ」と「建つ」の違いについて調べてみました。
立つの意味・使い方
「立つ」は、「上に向かってまっすぐに起き上がる」「ある場所にまっすぐ縦の状態で存在する」という意味があります。
そのほか「その場を去る」「なりたつ」「重要な役割を果たす地位・役割につく」など色々な意味があります。
- 急に立つと、ふらつくことがある。
- おなかが痛くなり、映画のクライマックスシーンで席を立つ羽目になった。
- こんな収入では、暮らしが立ち行かない。
- 証人として、証言台に立つことになった。
建つの意味・使い方
「建つ」は、「建物などがつくられること」です。
建造物に限らず、石碑や銅像など、人の手によってつくり出されたものに対しては、「建つ」を使うことがあります。
- 隣の空き地に、家が建つらしい。
- この石碑が建てられた経緯を、知る人は少ない。
立つ・建つの違いは?
「立つ」と「建つ」の意味や例文を見比べると、それぞれの言葉が何を重視しているか、という点に相違があることに気がつきます。
つまり、「立つ」は物の状態を重視しており、「建つ」はつくられること自体を重視しています。
たとえば「高層ビルが立ち並ぶ」という言い方はよくしますが、「高層ビルが建ち並ぶ」という言い方はしません。
大切なのは「立っている」状態であって、だれが何のために建造したかではないからです。
一方で「マイホームが建つ」と言うことはあっても、「マイホームが立つ」と言うことはまずありません。
これは建造すること自体に重大な意味があるからです。
このようなことから考えると、「像がたつ」というフレーズでは、「立つ」・「建つ」のどちらも当てはまりうるといえます。
すなわち、単にその場に像があることを表現したい場合には「像が立つ」とするのが正しいでしょう。
しかし、建てられたこと自体が大切である場合は、「像が建つ」とすべきです。
まとめ
- 立つは、「起き上がること」「まっすぐ縦の状態であること」という意味。物の状態を表す言葉。
- 建つは、「建造物などがつくられること」という意味。対象物がつくられた理由や過程などを重視する言葉。
「家などの建造物」=「建つ」という公式は、必ずしも当てはまりません。
文意を正しく伝えるために、「立つ」と「建つ」をしっかり使い分けるようにしましょう。