「習得」と「修得」。
どちらも「何かを学んで身に付ける」という意味で使われる言葉です。
ただ、「習得」も「修得」も「しゅうとく」と読むうえに、言葉のニュアンスもよく似ているため、正しく使い分ける自信がない方も多いと思います。
それでは、「習得」と「修得」にはどのような違いがあり、使い分けはどうすればよいのでしょうか。
それぞれの意味と使い方を詳しく見ていきましょう。
習得の意味・使い方
「習得」は、「学問や技芸を他人に教えてもらい、身に付けること」です。
これは「習」という文字の意味を知るとよくわかります。
「習」は、「繰り返し学ぶこと」「他人に教えてもらうこと」という意味を持つ文字です。
つまり、先生などに指導してもらいながら、稽古や練習を通じて学問や技芸を身に付けることが「習得」ということになります。
- 自動車教習所へ通って、運転に関する知識と技術を習得した。
- 年をとっても、幼いころに習得したことは意外に忘れないものだ。
修得の意味・使い方
「修得」は、「学問や学業などを学んで身に付けること」です。
「修」という文字には「学ぶ・修める」という意味があるため、「修得」は特に学問や学業を身に付けた際に使われます。
また、「修」には「習」のように「他人に教えてもらう」という意味はありません。
そのため、「修得」は独学の場合にも使えます。
- 語学を修得するために、ツアーガイドなしで海外旅行へ行ってみた。
- 薬剤師になるためには、生物や化学だけではなく物理も修得しなければならない。
習得・修得の違い
「習得」と「修得」の違いは、学ぶ対象と学び方にあります。
「習得」の対象となるのは、学問、技術、技芸など幅広い分野です。
むしろ、学びの範囲は限定されていないといってもいいかもしれません。
ただし、繰り返し習うこと、そして他人から教えてもらうことが必要となります。
一方、「修得」の対象となるのは、おもに学問や学業です。
学び方については自由で、他人から習う場合でも独学の場合でも使えます。
では、仕事・スキルの「しゅうとく」という場合について考えてみましょう。
まず、仕事・スキルは学問や学術ではありません。
そして、仕事やスキルは、多くの場合先輩などから教えてもらうものです。
なかには先輩から直接教えてもらわず、独学でスキルを身に付ける場合もあるかもしれませんが、それでもまったくの一人で仕事やスキルを学ぶことはほとんどないでしょう。
したがって、仕事やスキルについては「習得」を使うのが正しいということになります。
まとめ
- 「習得」は、学問や技芸を他人から繰り返し教えてもらい、身に付けること。
- 「修得」は、学問や学業を学んで身に付けること。
少しややこしいですが、迷った場合は何を身に付けたかで使い分けましょう。
学問・学業の場合は「修得」、それ以外は「習得」です。
このように覚えておけば、すっきり使い分けられますね。