「尚(なお)」という言葉。
皆さんは正しく使用できていますか?
『こちらの商品は40円です。なお、販売は100個単位といたします。』
『容疑者とされる人物は今も尚、逃走中です』
前の文章を補足するような意味?それとも、何かの丁寧語?
メールでは漢字とひらがなどちらで書くべき?
ビジネスシーンでも日常でも幅広く使える用語として、ぜひ自在に使いこなしたいところです。
この記事では「尚(なお)」という言葉の意味と正しい使い方について解説していきます。
尚の意味
尚(なお)の意味をまとめると以下になります。
- 以前の状態がそのまま続いているさま。相変わらず。やはり。まだ。
- さらに。もっと。いっそう。
- 現にある物事に付け加えるべきものがあるさま。
尚の正しい使い方
前述した3つの意味に分けて、例文をご紹介しますね。
A:以前の状態がそのまま続いているさま
『あの選手のスピードは、ベテランとなった今も尚、健在だ。』
『夜となっても尚、雨が降り続いている地域がある。』
B:さらに。もっと。いっそう。
『もしよろしければ今後も尚、弊社とお取引いただければ幸いです。』
『心と体のバランスが整えば、尚のこと、結果も良くなるでしょう。』
C:現にある物事に付け加えるべきものがあるさま。
『講義は以上です。なお、質問につきましては後ほど時間を設けます。』
『会場となる施設はこちらです。なお、会議室の位置詳細につきましては資料をご参照ください。』
例文の中には、漢字とひらがなが混じっていますね。
接続詞(「また」「ただし」など)は原則、平仮名で書きます。
副詞(動詞、形容詞及び形容動詞を修飾する語句)は漢字で書くケースがほとんどです。
今回学んでいる「尚」「なお」は、接続詞として用いる場合(C)はひらがな。
副詞(A・B)については漢字で記入することになり、注意が必要ですね。
尚の間違った使い方
前項の例文で学んだように、「まだ」とか「さらに」「あと」といった意味を表したり、補足として用いることが多い「なお」は、丁寧な表現とすることができる一方、文中や挨拶に何度も入れてしまうと、むしろ伝わりにくくなってしまいます。
必要最低限に留めるよう努めましょう。
「講義は以上です。なお、質問は個別対応します。なお、10分後からとします。」
「講義は以上です。なお、質問については10分後、個別にお尋ねください。」
「なお」と「また」の違い
様々な形で使われる「また」という言葉には、「加えてあと」という意味の接続詞として用いられるため、「なお」と同じと言え、「なお」の例文の中には、「また」に置き換えても、違和感のないものがあります。
「今回ご注文の商品は、イエローです。尚、グリーンも展開しております。」
「今回ご注文の商品は、イエローです。また、グリーンも展開しております。」
しかしどちらかと言えば、「また」は、「もしくは」「他と比べて」と表す際に用いられることが多いため、「なお」とすべてにおいて同じ意味ではないことに、注意が必要です。
- 「なお」は前の内容を補足したり協調したりする時に使う
- 「また」は前の内容と別の内容を追加する時に使う
という風に覚えておくとわかりやすいと思います。
尚の類語・別の言い方は?
- さらに(いっそう)
- ただし(補足する意味)
- しかも(強調)
これらすべてが「なお」の類語ですので、それぞれの意味を正しく捉え、接続詞として用いると、文章や言葉の説得力やインパクトが増すことでしょう。
尚のまとめ
- 前の文章を補足したり、後ろに説明を付け加える際に用いるケースが多い
- 繰り返したり、多用すると、伝わりにくい文章となってしまう
「尚(なお)」はご案内や説明の際に用いられることが多いため、ビジネスシーンでは自在に使いこなしたい表現です。
「あと、〇〇」を「尚、〇〇」とサラッと口にできると、ビシっと決まりますよね!