「印章」と「印鑑」と「はんこ」、どれも同じだと思っていませんか?
厳密にいうと、これらのうち二つは同じものですが、一つはまったく違う意味を持ちます。
さて、一体どれでしょう。
この記事では、日本人でもよく知らない「印章」「印鑑」「はんこ」の違いについて解説します。
印章とは?
「印章」は、木や竹、石、動物の角、象牙、金属、合成樹脂などに文字やマークなどを刻んだものです。
個人や団体の印として用いられ、朱肉などをつけて紙などに押したあとに残る文字やマークは「印影」と呼ばれます。
つまり、印章とは私たちが日ごろ「はんこ」「印鑑」と呼んでいるものの本体のことです。
印鑑とは?
「印鑑」は、印影の一種です。
銀行印や実印など、取引先や地方自治体などに提出・登録してある印影を「印鑑」と呼びます。
たしかに「印鑑証明」というのは、印章そのものを登録するものではなく、実印などの印影を登録するものです。
「印鑑」=「(特定の印章の)印影」ということを知っていると、すっきり納得できますね。
はんことは?
「はんこ」は「印章」のことです。
「はんこ」の由来は諸説ありますが、江戸時代に用いられていた版画を作成する工程の一つ、「版行」が語源とする説が有力です。
なお、「はんこ」を「判子」と書くのは当て字です。
印章・印鑑・はんこの違い
「印章」と「はんこ」は同じものです。
木や石、動物の角や象牙、金属、合成樹脂などに文字やマークを刻み付け、個人や団体の印として用いるものです。
「印鑑」は、「印章」「はんこ」を朱肉などにつけて紙などに押したあとに残る印影の一種です。
そして「印鑑」と呼ばれるのは、地方自治体や銀行などに届け出た印影のみです。
たとえ実印などであっても、届け出ていない印影は「印鑑」と呼びません。
近年では「はんこ」を「印鑑」と呼ぶこともありますが、厳密にいうとそれは間違いです。
もちろん、「印鑑を押す」というのも正しくはありません。
こだわるならば、「はんこ(印章)を押す」というべきでしょう。
まとめ
- 印章は、木や石、動物の角や象牙、金属、合成樹脂などに文字やマークを刻み付け、個人や団体の印として用いるもの。
- 印鑑は、地方自治体や銀行などに届けた印影のこと。
- はんこは、印章と同義。「判子」は当て字。
業務のテレワーク化が進んで「脱はんこ」が叫ばれていますが、日本の文化となじみの深いはんこがなくなってしまうのは少々残念な気がします。
無駄はなくすべきですが、何らかの形で文化としての「はんこ」が残っていくといいですね。