スーパーや小売店などでよく見かける「おすすめ」という言葉。
もちろん、店側としては「買ってください!」という意味で使っているのでしょう。
しかし、「すすめ」の部分に「勧め」を当てはめるか「薦め」を当てはめるかで、微妙に意味が異なってきます。
では、「勧める」と「薦める」にはどのような違いがあるのでしょうか。
例文とともに見ていきましょう。
勧めるの意味・使い方
「勧める」は、「何らかの行為をするように人に働きかけること」「積極的に実行することを励ますこと」です。
また、「物を提供して使うように促すこと」という意味でも使われます。
つまり、「勧める」は行動を促す際に使う言葉といえるでしょう。
- 大学に入学したら、サークルに入ることをお勧めするよ。
- 地球温暖化対策として、より積極的な省エネを勧める。
- 下戸なので、酒を勧められると本当に困る。
薦めるの意味・使い方
「薦める」は、「状況にふさわしい物や人を採用するように働きかけること」です。
そして、「薦める」対象は行為ではなく、物や人に限られます。
つまり、「薦める」は「推薦」あるいは「推す」と言い換えても良いかもしれません。
- Aさんを次のPTA会長に薦めます。
- 読む本に迷ったら、本屋大賞受賞作を薦めるよ。
勧める・薦めるの違い
「勧める」は、何らかの行為をうながす際に使う言葉です。
一方、「薦める」は、行為ではなく物や人物を採用するように働きかけるときに使います。
両者のもっとも大きな違いは、すすめる対象が「行為」なのか「物・人物」なのかという点です。
これを踏まえたうえで「商品をすすめる」という文章に当てはまる漢字を考えてみましょう。
まず、商品の購入を促す場合は「勧める」を使うのが正しいということになります。
しかし、商品そのものを推している場合は「薦める」を使うべきでしょう。
結局、文意によって当てはめるべき文字が変わるため、「商品をすすめる」という場合は「どちらも入りうる」というのが答えになります。
まとめ
- 「勧める」は、人に何らかの行為をするように促すこと。
- 「薦める」は、物や人物を採用するように働きかけること。
すすめる対象が行為であれば「勧める」、物や人物の場合は「薦める」と覚えておけば間違いありません。
それでも悩む場合は、「推し」かどうかを考えてください。
すすめる対象が物や人物など「推し」でない場合は「勧める」、まさに「推し」そのものの場合は「薦める」です。
ただ、物の購入の場面などでは、すすめているのが購入という行為なのか具体的な商品なのか迷うかもしれません。
そのような場合は、カタカナや平仮名で表記してその場を乗り切りましょう。