似ているけれど何となく違う、そんな言葉が日本語にはたくさんあります。
「精密」「綿密」「緻密」も、その中の一つでしょう。
多くの場合、この3つの言葉は文脈やニュアンスで使い分けが可能です。
しかし、意味をきちんと理解すれば、よりスマートに使いこなせます。
この記事では、「精密」「綿密」「緻密」の違い・意味と使い方についてご紹介します。
精密の意味・使い方
「精密」は、「非常に細かいところまで注意が行き届いていること・細部まで正確に作られていること」です。
ていねいに細かな部分も手を抜かずに作業する、といった感じですね。
1つ目の意味の例としては“精密検査”、2つ目の意味の例としては“精密機械” などがあります。
- 体中を精密に調べたところ、大腸にごく小さながんが見つかった。
- この時計は、100年前のものとは思えないくらい精密だ。
綿密の意味・使い方
「綿密」は、「くわしく細かいこと・細かなことまで注意が行き届いていること」です。
「精密」とよく似ていますが、正確であることよりも“細かいことまでくわしいこと”に重点がある感じですね。
- 綿密な調査で、事件のあった部屋は完全な密室になっていたことがわかった。
- 海外からの賓客をむかえるために、綿密な打ち合わせが行われた。
緻密の意味・使い方
「緻密」は、「細かなことまで注意が行き届いていて、手落ちがないこと」です。
ポイントはやはり、「手落ちがないこと」という部分でしょう。
細かいだけではなくミスもないこと、この点が「緻密」では重要になります。
- 人工衛星の落下位置を割り出すために、緻密な計算を行った。
- 緻密な回路を組み合わせることで、より複雑な動きに対応できるようになった。
精密・綿密・緻密の違いは?
「精密」は「ていねいに細かな部分まで手を抜かずに作業すること・細部まで正確に作られていること」です。
言葉の意味からもわかるように、対象となるのは作業や物です。
「綿密」は「細かな部分までくわしいこと」です。
細かな配慮が要求される場合も含まれます。
この場合、対象となるのは人の動作や行動結果(例:調査・打ち合わせ・計算など)です。
「緻密」は「細かな部分までくわしく且つ手落ちがないこと」です。
対象となるのは人の動作や行動結果だけではなく、物(例:回路・頭脳・構造など)も含まれます。
「精密」は対象が非常に限定されているため、迷うことは少ないかもしれません。
一方、「綿密」と「緻密」は使う場面が重なります。
そして多くの場合、「綿密」は「緻密」に置き換えることも可能です。
しかし、「緻密」の対象が物の場合、「綿密」に置き換えることはできません。
ちなみに、表題にある「~な計画」は「綿密」「緻密」どちらでもOKです。
細かさをアピールする場合は「綿密」、手落ちがないことをアピールする場合は「緻密」を使うと、より一層意味が伝わりやすくなるでしょう。
まとめ
- 精密は、細かな部分までていねいに作業すること、あるいは細部まで正確に作られていること。
- 綿密は、細かな部分までくわしいこと。
- 緻密は、細かな部分までくわしく、手落ちがないこと。
困るのは、綿密と緻密の使い分けだと思います。
基本的に綿密は緻密に置き換えられるため、迷ったらとりあえず緻密を使っておきましょう。