「ものを作る」という意味でよく使われる「制作」と「製作」。
読み方が同じで漢字もよく似ているため、意味も同じだと思っている人もいるかもしれませんね。
しかし、「制作」と「製作」には明らかな違いがあります。
ただ、例外的に本来の意味とは違う使い方をする場合もあるようです。
それでは、「制作」と「製作」の違いを詳しく見ていきましょう。
制作とは?意味と使い方
「制作」とは、「絵画や音楽、映像など、芸術分野の作品を自分の手で作り上げること」です。
つまり、オリジナリティのある作品・オンリーワンの作品を創作するのが「制作」ということになります。
- 来年は大学4年生だから、卒業制作にかかりっきりだ。
- 動画を制作するのは楽しいが、他人に見せるのはちょっと恥ずかしい。
製作とは?意味と使い方
「製作」とは、「道具や機械などを使い、実用的なものを作ること・量産すること」です。
こちらは、工場などで実用品を製造・量産するイメージですね。
ただし、手作りであっても、家具などのようにある程度形が決まっているものについては「製作」を使います。
少しややこしいですね。
- いずれ、世界中で介護用ロボットが製作されるようになるだろう。
- 父は、オーダーメイドの家具製作所に勤めている。
制作と製作の違い
「制作」は「芸術作品などを自分の手で作り上げること」で、「製作」は「道具や機械などを使って実用的なものを作ること」です。
「制作」は「創作」、「製作」は「製造」に近い意味と考えるとわかりやすいかもしれません。
ただし、例外的な使い方をする場合があります。
それが「保育」に関連してものを作る場合です。
保育園や幼稚園では、子どもたちがそれぞれオリジナリティのある作品を作りますが、この作業は「制作」ではなく「製作」という字があてられます。
これは、「先生のお手本をまねて子どもたちが作品を作るから」「まったくのオリジナルとはいえないから」などが理由かもしれません。
それでは、アニメ作品などは「制作」と「製作」のどちらを使うのが正しいのでしょうか。
実はアニメなどの映像作品の場合、作品そのものを作る場面では「制作」を使い、プロモーションや販売などの業務を行う場面では「製作」を使います。
例えば、映像作品は監督やスタッフにより「制作」されるもの、ということになりますが、販売用のDVDなどは「製作」されるもの、ということになるのです。
まとめ
- 「制作」は、自分の手で芸術作品などを作り上げること。創造すること。
- 「製作」は、道具や機械を使って実用品を作り出すこと。製造すること。
なお、保育の場面では「製作」を使うのが一般的と紹介しましたが、「制作」を使うのが間違いというわけではありません。
したがって、オリジナリティのある作品・オンリーワンの作品については「制作」、実用的なものを作ること・量産することについては「製作」を使えば大丈夫です。