日本語は同音異義語が多いため、意外と簡単な言葉で使い分けに悩む場合も少なくありません。
その一つが「あてる」です。
平仮名で書いてしまえば問題はないのですが、スマートフォンやタブレットの変換候補では「充てる」「当てる」「充てる」などが出てくるので迷ってしまいます。
一体、どのように使い分ければいいのでしょうか。
それぞれの「あてる」の意味と使い方を詳しく見ていきましょう。
充てるの意味・使い方
「充てる」は、「割り振る」という意味です。
目的を達成するために、人材や金銭、物品などを振り分けるときに使います。
もっとも、「充てる」を使う場面では「当てる」を使うこともできるようです。
しかし、「充てる」には「割り当てる」という意味しかないため、「充てる」を使うほうが話し手の意図がよく伝わります。
- 通学時のスキマ時間を勉強に充てる。
- 月収の3割を家賃に充てている。
当てるの意味・使い方
「当てる」は、もともと「何かと何かを接触させる・対応させる」という意味を持つ言葉です。
そこから転じて、「触れる・ぶつける・的中させる・直面させる・割り振る」などさまざまな意味で使われています。
- 子どもの額にそっと手を当てた。
- バレーボールが頭に当たった。
- 宝くじで一等を当てる夢を見た。
- 第一試合から強豪チームに当たってしまった。
宛てるの意味・使い方
「宛てる」は、「名指しする」「届け先にする」という意味です。
「宛先」の「宛」であることに気が付けば、それほど迷うことはないでしょう。
- 上司宛てにかかってきた電話を、誤って切ってしまった。
- 高校に宛てて送った書類が、なぜか付属中学校のほうに届いていた。
充てる・当てる・宛てるの違い
「充てる」は、割り振ることです。
「当てる」には、触れる・ぶつける・的中させる・直面させる・割り振るなど多数の意味があります。
「宛てる」は、名指しする・届け先にするという意味です。
そして、「時間をあてる」という場合は、「割り振る」という意味を持つ「充てる」あるいは「当てる」を使うのが正解ということになります。
もっとも、より意味を限定して伝えたい場合は、「当てる」より「充てる」を使うべきでしょう。
なお、「充てる」「当てる」「宛てる」は、活用形が少し違うようです。
「当てる」は語尾が「当たる」になる場合もありますが、「充てる」「宛てる」を「充たる」「宛たる」と書くことはありません。
そのように考えると、「充てる」「宛てる」は「当てる」から派生した言葉なのかもしれませんね。
まとめ
- 「充てる」は、割り振ること。
- 「当てる」は、「触れる・ぶつける・的中させる・直面させる・割り振る」こと。
- 「宛てる」は、「名指しする・届け先にする」こと。
「あたる」と活用できる場合は、「当てる」を使うのが正解です。
「宛てる」を使う場面は限定されているため、使い分けに困るのは「充てる」と「当てる」でしょう。
ただ、「充てる」は「当てる」に置き換えられます。
したがって、迷ったら「当てる」を使えば大丈夫です。