「越える」と「超える」は、使うシーンが似ているうえに読み方も同じなので、使い分けしにくい言葉です。
しかも「超越」という言葉まであるので、「そもそも違いがあるのだろうか?」と悩んでいる人もいるかもしれません。
しかし、あるポイントを知ると、「越える」と「超える」はスッキリ使い分けができるようになるのです。
そのポイントとは何なのでしょうか。
この記事では、意外に簡単な「越える」と「超える」の違いについて解説します。
越えるの意味・使い方
「越える」は「場所や障害などを通過すること・時を経ること」です。
英語で表現すると「over」あるいは「pass」という感じになります。
上方向ではなく横方向に何かを乗りこえるイメージで、移動をともなうシーンでよく使われます。
- 戦火を逃れるために、多くの人が国境を越えて避難した。
- 長い冬を越え、雪の下からフキノトウが顔を出した。
超えるの意味・使い方
「超える」は「数量や範囲などの基準を上回ること・順番を飛ばして先に出ること」です。
前者の意味の場合、英語では「super」や「very」を使うとしっくりきます(例:very goodなど)。
こちらは、横方向ではなく上方向にのびていくイメージで、数字が関係するシーンでよく使われます(特に前者の意味)。
- 体重が増え続け、たった3ヶ月で人生最大値を超えてしまった。
- 5つ上の先輩を超えて、エリアマネージャーになることができた。
越える・超えるの違いは?
- 「越える」は通過することで、移動をともなうシーンでよく使われます。
- 「超える」は上回ることで、おもに数字が関係するシーンで使われます。
では、気温・年齢・お金・身長はどちらの「こえる」を使うべきなのでしょうか。
この点、気温・年齢・お金・身長は、いずれも数字で表すことが可能なので、基本的に「超える」を使えば大丈夫です。
ただし、「年齢」は時を表す言葉として使われるため、注意が必要です。
例えば「100歳をこえる」という場合、100歳を通過点と考える場合は「越える」を使うのが正しくなります。
まとめ
- 越えるは、場所や点を通過すること。時を経ること。移動をともなうシーンでよく使われる。
- 超えるは、基準を上回ること。順番を飛ばして先に出ること。前者の意味の場合、数字が関係するシーンでよく使われる。
使い分けに迷ったら、どちらの方向に進んでいるかを考えてみましょう。
横方向、つまり「→」の場合は「越える」。
上方向「↑」の場合は「超える」です。
頭の中であれこれ考えるより、矢印の方向で考えたほうがわかりやすいかもしれませんね。